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『DIVE into OCEAN!』海洋ネタまとめ|磯笛・ルスカ・龍涎香とは?

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ブルーアーカイブのイベント『DIVE into OCEAN!』は、オデュッセイア海洋高等学校のダイビング部に焦点を当てたストーリーでした。海洋学校のイベントだけあって、作中には「磯笛」「ブルーホール」「ナイトロックス」など、聞き慣れない海やダイビング関係の言葉がいくつも登場しました。

今回は、その中から気になった海洋ネタを、現実の知識と比べながらまとめていきます。

本記事には、イベントストーリーの内容を含みます。ネタバレを嫌う方はご注意ください。

ココロの「磯笛」とは?

物語序盤、先生が海を泳ぐダイビング部部長・ココロと初めて遭遇するシーン。

イベント冒頭のシーンイベント冒頭のシーン
笛のようなSEが鳴るシーン © NEXON Games & Yostar

この、独特の笛のような音は、後に副長のアミから、「磯笛」だと説明されました。

磯笛の説明
アミが磯笛の説明をするシーン © NEXON Games & Yostar

磯笛は、スキューバ装備した一般的なダイビングの呼吸法というより、海女や素潜りで見られる呼吸法です。

口をすぼめて細く長く息を吐くことで、普通に「ハァッ」と一気に吐くより、呼気をコントロールしてゆっくり出すため、笛のような「ヒュー」という音が鳴ります。産総研では、磯笛を「過剰な二酸化炭素排出による失神を防ぐための呼吸法」として紹介しています。

イベント冒頭のココロは、水面で呼吸しては再び潜る動きをしていたため、この場面は素潜りだったと考えられます。その意味でも、磯笛が出てくるのはかなり自然ですね。

オデュッセイア海洋高等学校のダイビング部部長だけあって、かなり幅広い潜水知識を身につけているようですね。

フジツボにそっくりな水雷は実在する?

ダイビング部が巨額の借金を背負う原因になったのが、水雷です。

フジツボが爆発
フジツボが爆発した後のシーン © NEXON Games & Yostar

船底のフジツボを除去していたところ、フジツボに紛れていた水雷が爆発。

では、本当にフジツボみたいな水雷があるのでしょうか?

かなり近い兵器として存在するのが、リムペットマインです。

リムペットマイン
磁石でくっつく爆弾リムペットマイン by Fars Media Corporation CC BY 4.0 (Wikimedia Commons)

リムペットマインは、潜水員などが敵船の船底へ取り付ける小型の吸着機雷。磁石で船体へ張り付き、時間が経つと爆発して船を損傷させる兵器です。

リムペット(limpet)は、岩にぴったり張り付く性質のある「カサガイ」のこと。

ただし、実物のリムペットマインは比較的小型のものでも、全長約22cm、直径約6cmほどあります。これをフジツボと間違えるのはちょっと無理がありますね。

サユリの発言
サユリのフジツボそっくりというセリフ © NEXON Games & Yostar

サユリの発言を見ると、キヴォトスにはフジツボと見間違えるほど小型の吸着水雷も存在するのかもしれませんね。

ブルーホールとUMA「ルスカ」

海賊たちが狙っていた宝は、巨大なブルーホールの奥にありました。

ブルーホール
ダイビング部が潜る巨大なブルーホール © NEXON Games & Yostar

ブルーホールとは、石灰岩などでできた地形が水没し、海中に大きな縦穴や洞窟が形成された場所。上から見ると周囲より濃い青色に見えることから、この名前で呼ばれます。

そして作中では、UMAの話として「ルスカ」という名前も登場します。実は、この二つは現実でも関係があります。

現実のブルーホール
有名なグレート・ブルーホール(ベリーズ珊瑚礁保護区) by U.S. Geological Survey (USGS) (Wikimedia Commons)

ルスカは、有名なベリーズのグレート・ブルーホールではなく、バハマのアンドロス島周辺にあるブルーホール群に潜むと語られる海の怪物。現代では「上半身がサメ、下半身が巨大なタコ」のような姿で描かれ、ブルーホールに近づいたダイバー、時には船まで触手で捕まえ、深い水中へ引きずり込むとも言われています。

ルスカ
作中ではルスカの正体は不明のまま © NEXON Games & Yostar

果たして、今後ルスカは登場するのか、気になるところです。

ココロが早口で語ったナイトロックス、ヘリオックス、トライミックス

海賊に捕まり、ブルーホールの奥へ潜るよう命令されたダイビング部。ここでココロは、早口で専門用語をまくしたて、ダイビング知識のない海賊を煙に巻き、時間を稼ぐことに成功します。

混合ガスの話混合ガスの話混合ガスの話
早口で専門用語を並べて海賊を煙に巻く © NEXON Games & Yostar

この説明に出てきたナイトロックス、ヘリオックス、トライミックスとはなんでしょうか?簡単に言えば、ダイバーが水中で呼吸するためのガスの種類です。

名称 主な構成
ナイトロックス 酸素+窒素
トライミックス 酸素+窒素+ヘリウム
ヘリオックス 酸素+ヘリウム

かなりざっくり言えば、ナイトロックスは比較的浅い潜水、トライミックスやヘリオックスはより深い潜水で使われる混合ガスです。

混合ガスの話
ナイトロックスの危険性を訴えるココロ © NEXON Games & Yostar

ナイトロックスは通常の空気より酸素の割合が多いため、深く潜りすぎると、ココロが言っていたように、酸素中毒を起こす危険があります。

一方、トライミックスやヘリオックスはヘリウムを混ぜることで、より深い場所での潜水に対応できます。ただし、どちらも潜る深さに合わせて、酸素やヘリウムなどの割合を事前に計算する必要があるのは変わりません。

混合ガスの話混合ガスの話
トライミックスは混合の計算が必要 © NEXON Games & Yostar

そのため、このココロの説明だけを聞くと、「トライミックスは事前計算が必要だが、ヘリオックスならすぐ使える」ようにも聞こえますが、実際はそこまで単純ではありません。

とはいえ、このシーンの目的は海賊相手に時間を稼ぐこと。本物のダイビング知識をベースに、海賊が理解できない専門論を一気に畳みかけ、もっともらしく話をまとめたわけですね。

そう考えると、このココロの笑顔も、「してやったり」感がありますね。

クジラの大ジャンプ「ブリーチング」

後半、ダイビング部が海賊から脱出するときに利用したのが、クジラの大ジャンプです。

この回のサブタイトルにもなっている「ブリーチング」は、実在するクジラの行動。クジラが勢いをつけて海面から体を大きく飛び出し、そのまま水面へ落下する行動です。

サユリはこれを「フライング・ホエール」と呼んでいましたが、正式な用語としては確認できませんでしたので、おそらく、サユリがその場で付けた名前でしょう。

クジラのブリーチング
クジラが海面から大きく飛び出す © NEXON Games & Yostar

そしてコトネによれば、

クジラのブリーチングのパワー
40個の手榴弾くらいのパワー? © NEXON Games & Yostar

とのこと。

研究では、大型のザトウクジラ(体長14.8m、体重約46t)がブリーチングする際、約10.3MJものエネルギーを使うと推定されています。研究論文では、これは体重60kgの人がフルマラソンを走るのに使うエネルギーに相当すると例えられています。

とはいえ、これは「クジラがジャンプするために使ったエネルギー」の話。そのすべてが着水時の衝撃波になるわけではないので、「手榴弾40個分」はフィクション寄りの表現でしょう。

龍涎香は、水中にある方が美しい?

最後に、海賊ナナミが狙っていた宝「龍涎香」。龍涎香(アンバーグリス)は現実にも存在します。主にマッコウクジラの体内で形成される蝋状の物質で、非常に希少なことから、古くから香料として珍重されてきました。

しかし、作中の説明には現実と大きく違うところがあります。

ココロは龍涎香を説明したときのセリフはこちら

龍涎香の説明龍涎香の説明
龍涎香の説明をするココロ © NEXON Games & Yostar

龍涎香は水中にあると、幻想的で柔らかい香りを放ちながら、徐々に溶けていきます。

ですが水の外に出して光を当てると…醜い石にしか見えません。

ところが現実の龍涎香は、むしろ逆に近い性質を持っています。

新しい龍涎香は黒っぽく柔らかく、不快な臭いを持つことがあります。それが長期間、海面を漂いながら海水・空気・太陽光にさらされることで酸化し、硬く、灰色や白っぽい姿へ変化。同時に、龍涎香らしい複雑な芳香が形成されていきます。

現実の龍涎香
現実の龍涎香は、ココロの説明とは逆の性質 by Wmpearl (Wikimedia Commons)

つまり、作中の龍涎香は、現実のものとは少し異なる性質を持っているようです。

ただし、「非常に高価な宝」という点は現実と同じ。龍涎香には決まった相場がなく、品質や熟成状態によって価格は大きく変わりますが、良質なものは1kgあたり数百万円以上で評価されることもあります。その希少性から、「海に浮かぶ黄金」と呼ばれることもあるほどです。

海賊がわざわざダイビング部を利用してまで手に入れようとしたのも、金銭目的だけを考えれば納得できる宝ですね。

まとめ:意外とガチだったダイビング部

『DIVE into OCEAN!』に登場した海洋ネタを調べてみると、かなり実在の知識が混ぜ込まれていました。

用語 現実
磯笛 素潜りで使う実在の呼吸法
フジツボのような水雷 リムペットマインという似た発想の兵器がある
ルスカ ブルーホールと実際に結びついて語られるUMA
ナイトロックスなど 潜水用混合ガス
ブリーチング クジラの実在する行動
龍涎香 実在するが、作中では現実と異なる性質として描写

特に面白いのが、ココロの混合ガスの説明。専門用語を適当に並べているように見えて、前半はちゃんと本物のダイビング知識。そこへちょっと強引な理屈を混ぜ、知識のない海賊を見事に煙に巻いていました。

そして、龍涎香だけはなぜか現実とは異なる性質を持っているのが印象的。海洋学校のイベントだけあって、ストーリーの裏側にも意外と細かい海のネタが仕込まれていました。

参考資料

  • 産業技術総合研究所「海女の血管年齢の若さを計測にて発見」
  • George Mason University「What really lives in King Kong Cavern?」
  • NOAA CoastWatch「The Tongue of the Ocean」
  • Divers Alert Network「Breathing Gases」
  • Divers Alert Network「Nitrox」
  • eLife「Energetic and physical limitations on the breaching performance of large whales」
  • Australian Government DCCEEW「Ambergris」
  • Journal of Agricultural and Food Chemistry「From Ambergris to (−)-Ambrox」
  • Combat Intelligence Lessons「Shaped Charge Limpet Mine」
  • The Indian Express「Why officials here report frequent seizures of ‘floating gold’ or ambergris」

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