ジュリの銃、実は高級狩猟銃?M30ルフトバッフェドリリングを解説
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ブルーアーカイブ、イベント『パンデミック・ハザード~奇跡の一枚~』で実装されたジュリ(アルバイト)。
今回は、彼女が持つ銃のモチーフとして有力なドイツのM30 ルフトバッフェドリリングと、ゲーム内でのアレンジ、戦闘モーションについて深掘りしていきます。
M30 ルフトバッフェドリリングとは?
M30 ルフトバッフェドリリング(以下、M30)は、第二次世界大戦中にドイツ空軍の航空要員へ支給されたサバイバル用のコンビネーションガンです。
ルフトバッフェ(Luftwaffe)はドイツ語で空軍の意味。(Luft = 空気・空、Waffe = 武器)
製造したのは、ドイツの老舗銃器メーカーJ.P. Sauer & Sohn(ザウエル&ゾーン)。Sauer公式でも、M30をベースにした空軍向けモデルが1941年から、主に北アフリカ戦線の戦闘機・Ju 87などの航空要員へ支給され、 不時着や撃墜後に狩猟で生き延びるための銃だったと紹介されています。
ただ、この銃。軍用の非常用装備にしては、やたら豪華です。
M30は軍用にゼロから設計された簡素な銃ではなく、もともとSauerが1930年に発売した高級な狩猟用ドリリングをベースにしています。Sauer自身も古くから高品質な狩猟銃を得意としており、現在も自社を「ドイツ最古の狩猟銃メーカー」と紹介しています。
空軍仕様のM30も、軍用品らしく品質を落とすどころか、レシーバーには彫刻、ストックには美しく仕上げたウォールナット材を使用。こうした仕様には、ドイツ空軍トップで、自身も熱心な狩猟家だったヘルマン・ゲーリングの趣味が反映されていたとも説明されています。
給食部で料理を担当し、どちらかといえば庶民的な印象のジュリが、こんな高級狩猟銃をモチーフにした武器を使っているのは、ちょっと意外ですね。
約2500挺だけ。ケースまで豪華なサバイバルセット
M30は当初約4,000挺が発注されたとされますが、実際に納入されたのは2,456挺ほど。生産期間も1941~1942年と短く、現在ではかなり希少なコレクターズアイテムになっています。
2023~2024年の海外オークションでも、ケースや付属品が残った個体には1万ドル台後半から数万ドル規模の評価例があります。保存状態や付属品の有無で価格差が非常に大きいため、一概に「現在の相場はいくら」とは言えません。
そしてM30は、銃だけを機内に放り込んでいたわけではありません。
専用のアルミケースには、
- 分解したM30本体
- 9.3×74mmRライフル弾
- 12ゲージのスラグ弾
- 12ゲージの散弾
- スリング
- クリーニング用品
- 取扱説明書
などを一式収納。
完全装備のケースは約14.5kgにもなったとされています。
さすがに、撃墜されてパラシュートで脱出するときに14kgのケースを抱えて飛び降りるわけではありません。機体に搭載しておき、不時着後に機体から回収して使うという運用だったようです。
ただし、これは墜落衝撃に耐える特殊ケースというわけではなく、激しい墜落や火災なら、中身ごと失われる可能性も当然あります。あくまで「不時着後に回収できれば使う」サバイバル装備だったのでしょう。
墜落して救助を待つ極限状態で、まるで芸術品のような高級銃(彫刻入り)に命を預けることになる、なんともミスマッチですね。
散弾・スラグ・ライフル弾。1丁で何でも狙える
M30最大の特徴が、名前の由来にもなった3本の銃身です。「Drilling」はドイツ語の「3」に由来する呼び名で、M30は上側に12ゲージの銃身を2本、その下に9.3×74mmRのライフル銃身を1本備えています。
大まかな役割はこんな感じです。
| 使用弾 | 主な用途 |
|---|---|
| 12ゲージ散弾 | 鳥や小動物 |
| 12ゲージBrennekeスラグ | より大きな獲物 |
| 9.3×74mmR | 大型獣 |
厳密には「散弾専用・スラグ専用・ライフル専用」の3種類の銃身というわけではなく、上2本はいずれも12ゲージです。ただし、右銃身は散弾、左銃身はスラグ用にチョーク(絞り)が調整されており、さらに下のライフル銃身まで組み合わせることで、小動物から大型獣まで1丁で対応するという欲張りな構成になっています。
操作機構もなかなか凝っています。トリガーは2本あり、上部のセレクターを切り替えるとリアサイトが自動的に起き上がり、前側のトリガーが9.3mmライフル銃身用へ切り替わります。
つまり見た目は古典的な猟銃ですが、中身はかなり複雑なメカです。
9.3×74mmRはどれくらい強い?
ショート動画でも触れた、下側の銃身から撃つ9.3×74mmR。現代の市販狩猟弾を見ると、15~18.5gほどの重い弾頭を約680~780m/sで発射し、銃口エネルギーはおよそ4,300~4,600J級です。
比較すると、おおよそこんな位置になります。
| 弾薬 | 銃口エネルギーの目安 |
|---|---|
| 7.62×51mm NATO | 約3,000~3,600J級 |
| 9.3×74mmR | 約4,300~4,600J級 |
| .50 BMG | 約18,000J級 |
7.62×51mm NATOより一回り強力ですが、バレットM82などで使う.50 BMGほどの規格外火力ではありません。ざっくり言えば、一般的な軍用ライフルより一回り強力ですが、.50口径の対物ライフルには遠く及ばない、くらいのイメージです。
9.3×74mmRは現在でもヘラジカやイノシシなどの大型獣狩猟に使われる口径で、Normaも大型獣向けの代表的な狩猟用口径として紹介しています。つまり、墜落後に鳥を捕まえるための散弾だけではなく、かなり大きな動物まで相手にできる火力を持っていたわけです。
ところがSauer公式によれば、M30が主に想定されていたのは 北アフリカ戦線。ゾウやライオンなどの大型獣がいるのは、中央アフリカ、南アフリカであり、北アフリカは主に砂漠地帯です。
砂漠や乾燥地にも大型の草食獣などは存在しますが、9.3mm級が必要になるような大型の危険獣へ頻繁に遭遇したとは考えにくく、かなり余裕を持たせた無駄の多い装備だったように見えます。
さらに、M30が本来想定された「撃墜後のサバイバル」で実際に使用された明確な記録は確認されていない、とする資料もあります。
余談:他のゲームでは、ちゃんと3本目も使う?
M30は珍しい見た目とロマンのある構造から、『Call of Duty』『Sniper Elite』『Battlefield』など、第二次世界大戦を扱うゲームにもたびたび登場します。多くの作品では、ゲーム上の都合から普通のショットガンに近い扱いになることもあります。
一方、『Call of Duty: WWII』では、M30専用の「Rifle Bullet」という要素があり、3本目のライフル銃身を使うという実銃ならではの特徴までゲームシステムへ取り入れられています。
ショットガンを持っていたと思ったら、長距離狙撃もできる。M30ならではのロマンですね。
ジュリのM30は実戦向けカスタム?
ここからは、ジュリの銃を実銃と比べてみます。


基本的な3銃身のシルエットはM30に近い一方で、細部はかなり現代的です。
1. ストックは大胆に変更
まず目立つのがストック。実銃M30は、古典的な高級猟銃らしい木製ストックですが、ジュリの銃では三角形の大きな穴が開いた近代的なデザインへ変更されています。
高級ハンティング銃の面影はかなり薄く、見た目としては現代の軍用銃に近い印象ですね。
2. 前方にはアングルドフォアグリップ
銃身下にはアングルドフォアグリップ風のパーツも追加されています。アングルドフォアグリップは、銃の前方を支えるために取り付けるグリップの一種。一般的な縦型のフォアグリップとは違い、斜めになった部分へ左手を沿わせるように握ることで、銃を構えやすくし、コントロールしやすくするためのパーツです。
3. トリガーは1本だけ
もうひとつ、実銃との大きな違いがトリガーの数です。前述のとおり、M30の実銃には2本のトリガーがあり、上部のセレクターを切り替えることで、散弾とライフル弾を撃ち分けます。
一方、ジュリの固有武器画像を見ると、確認できるトリガーは1本だけ。
もちろん、ゲーム内の銃なので内部構造まで実銃と同じとは限りません。ただ、少なくとも外見上は、M30本来の散弾とライフル弾を切り替えて撃つための機構が簡略化されているように見えます。
そして、この違いは戦闘モーションを見ると、さらに分かりやすくなります。
戦闘モーションでは、ほぼショットガン?
ジュリの通常攻撃では3回射撃してからリロードしますが、確認できる発射エフェクトは3発とも散弾です。
さすがに、ライフル弾、スラグ弾の撃ち分けは再現されていません。まあ、身も蓋もない言い方をすれば、ゲームの都合でしょうね。
そして、リロードは、中折れ式の銃を開いて弾薬を交換するシンプルな動作です。


ちなみに、ショットガンには珍しく、ハンマーのようなパーツが見えますが、これはリロード時に操作するレバー。ゲーム内では、この操作は省略されていますね。
ノーマルスキルはパフェ作り
ノーマルスキルでは、銃ではなくパフェを届けて味方を強化します。ちなみに、編成画面でジュリが持っているもののほうが豪華です。


EXスキルでは、やっぱりパンちゃん誕生
EXスキルでは料理を始めますが、当然のように小型のパンちゃんが誕生。ジュリ本人も慌てて追いかけようとします。そして、そのときの涙目が可愛い。



料理を作るつもりだったのに、異形のモンスターが生まれる。いつものジュリですね。



まとめ:調理用なのに、装備はガチ
ジュリの銃のモチーフとして有力なM30 ルフトバッフェドリリング。現実では、散弾、スラグ、強力な9.3mmライフル弾を使い分け、小動物から大型獣まで対応できる無駄に豪華な万能サバイバル銃でした。
一方、ゲーム内ではライフル銃身を使った描写は確認できず、実質的には3発装填のショットガンとして描かれています。
それでも、古典的な木製ストックを近代的な形へ変更し、フォアグリップまで追加するなど、ジュリの銃は実戦向けのカスタムが目立ちます。
給食部で、主に調理用として使う銃にしては少々本格的。でも、考えてみればジュリは日々、料理から生まれてしまった謎の生命体と向き合っています。
そう考えると、このくらいガチな装備でちょうどいいのかもしれませんね。
参考資料
- J.P. Sauer & Sohn 公式「Luftwaffendrilling M30」
- J.P. Sauer & Sohn 公式「270 Years / History」
- American Rifleman「This Old Gun: M30 Luftwaffe Drilling」
- Rock Island Auction Company「The M30 Drilling and the Luftwaffe Shotgun」
- Norma Ammunition 9.3×74R 関連資料
- RWS 9.3×74R 製品仕様
- Nammo 7.62×51mm NATO 製品仕様
- Hornady .50 BMG 製品仕様
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