ブルーアーカイブ

オデュッセイアのタブーは実在する?船乗りの迷信を読み解く

ブルーアーカイブ、メインストーリーのオデュッセイア編、第1章に登場する「海の禁忌(タブー)」。巨大な船を学園とするオデュッセイアでは、厳しい海を生き抜くため、日常の小さな振る舞いにも決まりがあります。

口笛を吹いてはいけない、ウサギは縁起が悪い、魚をひっくり返してはいけない……。一見すると不思議な習慣ですが、現実の船乗りにも、よく似た迷信が伝わっています。

今回は、作中で登場したタブーを、現実の言い伝えと比べてみます。

口笛は、信号と紛らわしいから?

口笛については、船の信号と紛らわしいため、と説明されていました。これは、現実にもかなり近い教えがあります。

口笛を忌避する
口笛禁止の理由を語るミナト © NEXON Games & Yostar

ミナトの説明では、警報や救難信号と似ている、ということですが、現実で似ているとされるのは号笛(ごうてき・サイドパイプ)。

号笛は、船内で命令や合図を伝えるための笛。なので、みだりに口笛を吹けば、「おっ、敵襲だ!攻撃開始!」と勘違いされて、大惨事になるかもしれません。

※実際には、号笛だけでこのような重大な命令を出しません。

海上自衛隊のサイトに掲載されている『海軍名言集』には、艦内で口笛を吹かないよう戒め、号笛との取り違えを防ぐという理由が記されています。

一方、ヨーロッパの船乗りの迷信には、「口笛は風や嵐を呼ぶ」というものもあります。英国の国立海事博物館コーンウォールは、嵐を起こすとして嫌う例と、船を進める風を呼ぶと考える例を紹介しています。

同じ口笛でも、信号との混同を避ける実用的な理由と、風にまつわる言い伝えがあるのは面白いところです。

実際の音は、Wikimedia Commonsの「Pipeaboard」で確認できます。

ウサギは、木造船の大敵?

作中では、木造船を傷つけかねないことが、ウサギを嫌う理由として語られていました。現実にも、ウサギを船上のタブーとする習慣があります。

フランス国立海洋博物館の資料が紹介する説では、ウサギがロープや、船体の板の隙間を塞ぐ詰め物をかじることが問題とされます。作中の説明は、現実に語られる由来説とよく似ています。

ミナトのセリフ
ミナトが語る理由は、ほぼ現実と同じ © NEXON Games & Yostar

しかも、船上では「ウサギ」という名前を口にすること自体を避ける場合まであるそうです。

ミツキのセリフ
ウサギという言葉を避けるミツキ © NEXON Games & Yostar

ミツキが、あえて「耳の長い動物」と遠回りな言い方をしていたのは、これが理由ですね。ラビット小隊が乗船したらどうするのでしょうか…

ただし、ウサギが嫌われる由来には諸説あります。同博物館も複数の説を紹介しており、船を傷つけることが唯一の起源だと確定しているわけではありません。

魚をひっくり返すと、船もひっくり返る?

作中では理由が語られなかった、魚をひっくり返して食べてはいけないという決まり。これは、魚を裏返す姿が、船の転覆を連想させるからというのが有力。

ミナトのセリフ
魚をひっくり返してはいけない © NEXON Games & Yostar

中国の海運や漁業に関わる家庭などに伝わる習慣で、南カリフォルニア大学の民俗伝承アーカイブにも、上海系の家庭で守られてきた例が記録されています。船の転覆を連想させる行為は、食卓でも避けたかったのでしょう。

ただ、この禁忌には、現実の危険と結び付けるような理由は発見できませんでした。ミナトが言ったように「特に意味のない迷信」なのでしょうね。

ミナトのセリフ
由来のわからない禁忌 © NEXON Games & Yostar

船に乗るときは、右足から

作中で一言だけ登場した「右足から乗る」という決まりも、現実の船乗りの迷信にあります。

スミカのセリフ
右足から船に乗る © NEXON Games & Yostar

なぜ右足なのか、船乗りに固有の由来ははっきりしません。ただし、西洋では古くから「右」をよいもの、「左」を不吉なものとする考え方があります。

英語の「sinister(不吉な)」も、もともとはラテン語で「左」を意味する言葉でした。つまり、安全上の理由があるというより、長い航海の第一歩を右足から踏み出すゲン担ぎだったのでしょう。

まとめ:実は、もっと大きなタブー違反?

作中に登場した禁忌と、現実で語られる理由をまとめると、次のようになります。

作中の禁忌 現実で語られる理由
口笛を吹かない 号笛との混同を避ける/風や嵐を呼ぶ
ウサギを嫌う ロープや船体の詰め物をかじる
魚をひっくり返さない 船の転覆を連想させる
右足から乗船する 左足から乗ると不運を招く

こうして比べると、船上生活の注意から、航海の安全を願う純粋な縁起担ぎまで、さまざまな禁忌が取り入れられています。

ところが、そんなタブーを重んじるオデュッセイアにも、現実の古い迷信を当てはめると、ずいぶん大きな「違反」があります。昔のヨーロッパの船乗りには、女性を船に乗せると不運を招くとして、乗船を嫌う迷信まであったのです。

……オデュッセイアの生徒、みんな女の子ですよね?

魚をひっくり返す前に、学園そのものがタブー違反でした。

参考資料