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『マコト議長の華麗なる避暑』各話タイトルの元ネタは?映画・小説パロディを考察

ブルーアーカイブのイベント『出航!万魔船 マコト議長の華麗なる避暑』では、万魔殿のメンバーが豪華クルーズへ出発……するはずが、船の故障によって漂流生活へ突入。その後も幽霊船や海賊と遭遇し、海洋警備船との戦闘にまで発展していきます。

そんな騒がしい航海に合わせて、各話のサブタイトルにも海、船、漂流に関係する映画や小説のパロディが多数使われているようです。

今回は、本編と後日談の各話タイトルについて、元ネタと思われる作品とストーリー内容との関係を調べてみました。

本記事には、イベントストーリーのネタバレを含みます。

漂流生活が始まる本編前半

イベント前半
イベント前半のタイトル © NEXON Games & Yostar

「キャスト・ガール・アウェイ」

元ネタは、トム・ハンクス主演の映画『キャスト・アウェイ』でしょう。同作では、飛行機事故によって無人島へ漂着した男性が、孤独なサバイバル生活を送ります。

ゲームでは、「Cast Away」に「Girl」を挟み、

Cast Away
↓
Cast Girl Away

と、漂流する少女たちの物語へ変更。

ストーリーは、先生が万魔殿メンバーのクルーズ旅行へ招待される、という内容でした。映画の内容を知っていると、タイトルだけで 「あっ・・・(察し)」となりますね。

「少女漂流記」

ジュール・ヴェルヌの冒険小説『十五少年漂流記』が元ネタと思われます。

また、1992年には『十五少年漂流記』をモチーフとして、無人島に取り残された15人の少女を描く映画『喜多郎の十五少女漂流記』も公開されています。

そのため、

十五少年漂流記
↓
十五少女漂流記
↓
少女漂流記

という流れを意識したタイトルでしょうか。

この回は、無人島ではなく、壊れた船で漂流生活をする様子が描かれていました。楽観的なマコトに対し、イロハは残りの物資を確認し、現実をシビアに考えます。この、物資を確認して長期生活に備える展開を考えると、『十五少年漂流記』と重なる部分がありますね。

「私のいる理由、そして船は発つべく」

後半は、フェデリコ・フェリーニ監督の映画『そして船は行く』を思わせる題名。

そして船は行く
↓
そして船は発つべく

この回は、マコトに振り回され続けるイロハの不満が爆発し、二人の対立が決定的になります。『そして船は行く』でも、立場の異なる人々が同じ船に乗り合わせ、騒動が広がっていきます。

一方、前半の「私のいる理由」は、特定のモチーフは見つかりませんでした。単純に、万魔殿にいる意味を自問するイロハの心境を表した言葉でしょうか。

幽霊船と海賊を扱ったタイトル

イベント後半イベント後半
イベント後半のタイトル © NEXON Games & Yostar

「ガイスターシップ」

「ガイスターシップ」は、ドイツ語で幽霊船を意味する「Geisterschiff(ガイスターシフ)」をもじった名前でしょう。

Geisterschiff
↓
Geister + Ship
↓
ガイスターシップ

ドイツ語の「Geister(幽霊)」と英語の「Ship(船)」を組み合わせた、独英混合の名前になっています。

また、2002年の映画『ゴーストシップ』も連想されます。同作にも、長年行方不明だった客船を探索し、船内に残された死者の霊と遭遇する展開があります。

ただし、「幽霊船」自体が古くからある題材なので、特定の映画までモチーフにしているかは不明です。

「死せる悪魔の社会」

元ネタは、1989年のアメリカ映画『いまを生きる』の原題『Dead Poets Society』でしょう。

直訳に近い表現では「死せる詩人の会」となりますが、ゲームでは「詩人」が「悪魔」へ置き換え。

Dead Poets Society
↓
Dead Devils Society

さらに、万魔殿の英語名は「Pandemonium Society」。“Society”を残しながら、万魔殿らしい「悪魔の社会」へ変えた、かなりきれいな言葉遊びです。

しかも、この回で明らかになるのは、幽霊船に残されたゲヘナの過去。つまり「死せる悪魔の社会」は、映画タイトルのパロディであると同時に、幽霊(?)となった船員たちをそのまま表しているとも読めます。結局最後まで、彼女たちが幽霊だったのかは明言されませんでしたが。

今回の各話タイトルの中でも、元ネタとストーリー内容が特にうまく重なった題名ではないでしょうか。

「カリビアンの万魔殿」

これは映画シリーズ『パイレーツ・オブ・カリビアン』でしょう。

この回では、マコトが幽霊船の海賊たちを率いて船長となります。万魔殿がそのまま海賊団のようになっているため、題名と内容も非常に分かりやすく対応しています。

「ライフ・オブ・ビス丸」

元ネタは、ヤン・マーテルの小説と、それを原作とした映画『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』でしょう。同作では、船の沈没で生き残った少年パイが、トラとともに救命ボートで漂流します。

Life of Pi
↓
Life of ビス丸

この回では、激しい戦闘によりビス丸がついに沈没。その際、海へ落ちそうになったマコトを、イロハが間一髪で救いました。

『ライフ・オブ・パイ』でも船の沈没が物語の発端となり、パイが海を泳ぐトラを救命ボートへ導こうとする場面があります。船の沈没と海上での救助まで、緩く重ねられている可能性もありそうです。

「塩水の夢」

元ネタは、2016年のオーストラリア映画『Wutharr, Saltwater Dreams』でしょうか。

同作は、オーストラリア先住民の映像制作集団「Karrabing Film Collective」による作品。船のモーターが故障して立ち往生した家族が、その原因について祖先の霊、キリスト教、行政など、異なる観点から振り返っていきます。

一方、ゲーム内では、

  • 船の故障から漂流生活が始まる
  • 過去のゲヘナに関係する幽霊船と出会う
  • 最後は幽霊船(ビス丸)が消え、夢のような出来事として終わる

という展開が描かれています。

単に「Saltwater Dreams」を「塩水の夢」と訳しただけでなく、船の故障、立ち往生、祖先の霊、現実と超自然の交錯という内容にも共通点があります。

ただし、「Saltwater Dreams」自体は海を連想させる詩的な表現として、複数の作品に使われているため、他にもモチーフがあるかもしれません。

後日談にも元ネタ候補

イベント後日談
イベント後日談のタイトル © NEXON Games & Yostar

「海賊、忍者、万魔殿」

元ネタ候補は、アメリカンコミック『Cowboy Ninja Viking』でしょうか。

Cowboy, Ninja, Viking
↓
Pirate, Ninja, Pandemonium
海賊、忍者、万魔殿

これは他にも候補があるかもしれません。

「夢の戦艦」

元ネタ候補は、ドイツのテレビドラマ『Das Traumschiff』でしょうか。

『Das Traumschiff』は、直訳すると「夢の船」。豪華客船で世界各地を旅する乗客や船員を描く、1981年から続くシリーズです。

ゲヘナのドイツ系モチーフに加えて、船を扱う作品という点も一致しています。

夢の船
↓
夢の戦艦

と、マコトが思い描く新たな「ビス丸2号」に合わせて、物騒な名前へ変えたのかもしれません。

ただし、作中で語られるマコトの理想の新型船を、単純に「夢の戦艦」と呼んだ可能性もあります。

「海の賑やかな伝令者」

この題名が指しているのは、ギリシャ神話のトリトンでしょうか。

トリトンは海神ポセイドンの息子であり、ポセイドンの伝令役とされる存在です。また、法螺貝をラッパのように吹き、波を鎮めたり、起こしたりする姿でも知られています。

つまり、

  • 海の伝令者=トリトン
  • 賑やかな=法螺貝を吹く

と分解できます。

「海のトリトン」という形からは、手塚治虫の漫画・アニメ『海のトリトン』も連想されます。

さらに、この回で万魔殿を訪れるスミカは、オデュッセイア海洋高等学校から来た謝罪使節です。

オデュッセイアには、学校名をはじめ、トライデント、ハルピュイア(ハーピー)など、ギリシャ神話由来の言葉が数多く使われています。そのため、海洋高等学校から来た「使節」を、ギリシャ神話の「海の伝令者」であるトリトンに重ねた可能性は高そうですね。

直接的な語感のパロディではありませんが、スミカの所属、役割、賑やかな人物像を一つにまとめた、かなり凝った題名ではないでしょうか。

特定のモチーフを絞れなかったタイトル

ミニゲームのサブタイトルも、特にモチーフはないようです。それ以外で、特定の作品モチーフが見つからなかったのは、以下の2つ。

「Fools in August」

特定の映画や作品は見つかりませんでしたが、次の英語の格言との関連が見られます。

Fools rush in where angels fear to tread.
天使も恐れて踏み込まない場所へ、愚か者は軽率に飛び込む

これは、イギリスの詩人アレキサンダー・ポープが1711年に発表した『批評論』の一節。

マコトが海賊になり切って、無謀な戦闘をする回なので、格言の意味には沿っていますね。

『August Fools』や『Fools Rush In』といった映画作品もありますが、今回のイベントストーリーとの関連性は見られませんでした。

「ロマンティック・クルージング」と「ロマンティック・クルージング(本当)」

こちらも候補が多すぎて絞り込めず。似た題名の楽曲や作品は存在しますが、「ロマンティック」と「クルージング」は自然な組み合わせでもあり、どれか一つを元ネタと判断できるほどの共通点はありません。

まとめ:作品パロディと各話の内容が重なる

今回の元ネタ候補を整理すると、次のようになります。

各話タイトル 元ネタ候補
キャスト・ガール・アウェイ 『キャスト・アウェイ』
少女漂流記 『十五少年漂流記』『喜多郎の十五少女漂流記』
私のいる理由、そして船は発つべく 『そして船は行く』(+イロハの心情)
ガイスターシップ ドイツ語「Geisterschiff(幽霊船)」/『ゴーストシップ』も連想
死せる悪魔の社会 『Dead Poets Society』
カリビアンの万魔殿 『パイレーツ・オブ・カリビアン』
ライフ・オブ・ビス丸 『ライフ・オブ・パイ』
塩水の夢 『Wutharr, Saltwater Dreams』
海賊、忍者、万魔殿 『Cowboy Ninja Viking』
夢の戦艦 『Das Traumschiff』
海の賑やかな伝令者 ギリシャ神話のトリトン/『海のトリトン』も連想

分かりやすい映画タイトルの置き換えだけでなく、英語の原題がモチーフだったり、変化球も多め。中でも、『Dead Poets Society』から「死せる悪魔の社会」が、一番きれいにはまっている印象です。

豪華クルーズ計画から始まり、漂流、幽霊船、海賊を経て、最後はようやく本当のクルージングへ。各話タイトルを追うだけでも、マコトの華麗な避暑がどれほど予定から外れていったのかがよく分かるイベントでした。

※元ネタについては、あくまでも個人の考察です。

参考資料